成年後見制度は精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。たとえば、一人暮らしの老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどといったことを最近よく耳にしますが、 こういった場合も成年後見制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる場合があります。
成年後見制度手続きの流れ |
1.家庭裁判所への申し立て
2.家庭裁判所の調査官による事実の調査
申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます
3.精神鑑定 ※鑑定費用は5〜10万円(必要であると判断された場合のみ)
4.審 判
申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士等が選任されることもあります。
5.審判の告知と通知
裁判所から審判書謄本をもらいます
6.法定後見開始 ※東京法務局にその旨が登記されます
任意後見制度は本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人(任意後見人といいます)を、自ら事前の契約によって決めておく制度です(公正証書を作成します)。
なお、任意後見制度での家庭裁判所の関与は、本人があらかじめ選任しておいた任意後見人を家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります。
もう少し分かりやすく言いますと、今は元気でなんでも自分で決められるけど、将来は認知症になってしまうかも・・・という不安を感じている方が、将来を見越して事前に公証人役場で任意後見契約を結んでおき、認知症かなぁと思った時に家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人の選任をしてもらうといったものです(任意後見監督人は本人が選んだ任意後見人がきちんと仕事をしているかチェックします)。
なお、任意後見契約においては任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかは話し合いで自由に決めることができます。ただし、一身専属的な権利(たとえば、結婚、離婚、養子縁組など)については任意後見契約に盛り込むことはできません。
任意後見制度手続きの流れ |
1.今は元気なので何でも自分で決められるが、将来認知症になったときのことが心配・・・
(現時点では判断能力に問題ない方のみ利用できます)
2.信頼できる人(家族、友人、弁護士、司法書士等の専門家)と任意後見契約を締結
公証人役場で公正証書を作成します
東京法務局にその旨が登記されます
3.少し認知症の症状がみられるようになった
4.家庭裁判所に申し立て
(家庭裁判所が選任した任意後見監督人が任意後見人の仕事をチェックします)
5.任意後見人が任意後見契約で定められた仕事(財産の管理など)を行います。